はじめに
育児をしていると、どうしても少しだけ子どもに静かにしていてほしいタイミングがありますよね。特にワンオペ育児で、食事の準備をするときなどにぐずられてしまうと本当に大変です。
そんな時、我が家ではテレビがとても便利な存在でした。しかし、スクリーンタイム(テレビや動画を視聴する時間)の管理がうまくいかないと、子どもの行動や親子の関係に影響を与えることがあります。私も、テレビを「少しだけ」と思って見せていたつもりが、次第に習慣化してしまい、コントロールに悩むようになりました。
この記事では、私がどのようにスクリーンタイムを見直し、テレビ視聴に関するルールを作ったのか、その結果として娘にどんな変化があったのかをご紹介します。同じように悩んでいる方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
1. テレビ視聴に関する指針
赤ちゃんや幼児のスクリーンタイムに関して、WHO(世界保健機関)のガイドラインは以下のように推奨しています:
- 2歳未満:スクリーンタイムは推奨しない。
- 2歳〜5歳:スクリーンタイムは1日1時間以内。
アメリカ小児科学会や日本小児科学会でも同様の指針があり、スクリーンタイムが過剰になると、子どもの言語発達や社会性、運動能力に悪影響を与える可能性があると警告されています。
2. 我が家のこれまでのテレビ視聴の実態
私も、スクリーンタイムが子どもに与える影響については漠然と理解していたものの、実際にはワンオペ育児の中でテレビに頼りたい気持ちが先行していました。
我が家では、夫が日中は仕事で不在のため、娘が生まれてから私一人で家事と育児をこなすことがほとんどでした。実家や義実家にも頼れない状況で、どうしても家事の合間に子どもを静かにさせる方法として、テレビに頼ることが多くなりました。
最初は、家事の間だけ「ちょっとの時間」と思い、教育的なDVDや年齢に合った番組を選んで見せていました。ところが、毎日その「ちょっとの時間」が積み重なり、気づけば視聴時間は長くなり、次第にテレビが静かにしていてほしい時の頼みの綱になっていったのです。
さらに、夫がYouTubeで子ども向けのコンテンツを見せたことがきっかけで、視聴習慣が変わってしまいました。
YouTubeではコンテンツが簡単に切り替えられるため、娘はすぐに「これが見たい」「あれが見たい」とリクエストするようになりました。そして、選んだ動画を最後まで見ずに、「違う!」と言ってすぐに別の動画を要求することが増えたのです。その結果、娘の要求に応えリモコンを操作する回数が増え、家事が全く捗らなくなり、イライラが募るばかり。最初は育児の手を借りるつもりだったテレビが、逆に育児を難しくしているように感じるようになってきたのです。
加えて娘はあまり食事に積極的でなく、すぐに席を立とうとしたり、遊び食べばかりで自分から進んで食べてくれることが少ないタイプでした。そのため食事の席にすこしでも座って食べてほしいという思いから、食事中にもテレビをつけてしまっていたのです。今思うと本当に良くない習慣だったのですが、娘がテレビを見ている間に食事を少しでも娘の口に運んだり、私自身が急いで食事をとるようにしたりと当時は必死でした。それでも状況が好転することもなく、毎日食事の時間が最大のストレスと感じていました。
3. 直面した悩みとテレビの影響
そんな中、娘の落ち着きのなさも気になるようになり、次第に悩みが深くなっていきました。
絵本を読んでいる最中でもすぐに飽きてしまい、遊びに集中できない様子が多く見受けられました。「子どもの集中力は年齢+1分」と言われますが、それにしても集中力がないように感じ、どうしても不安になってしまいました。
さらに、テレビを消そうとすると、ぐずって1時間以上も大泣きする日が続くようになり、「まずい、このままではだめだ」と強く感じ、思い切って専門家に相談することにしました。(詳しくは下記の記事へ)
その結果、発達に遅れなどの問題は見られないとのことで、一安心しました。
しかし専門家からは、『想像力を使うような遊びが苦手そうなので、それを育む遊び』を勧められました。これを聞いた瞬間、私はハッとしました。テレビや動画に頼りすぎて、娘が自発的に創造する遊びの機会を奪っていたことに気づいたのです。
その言葉は、私にとって大きなヒントとなり、思わず涙が込み上げました。長時間のスクリーンタイムが受け身の時間となり、娘の想像力を育む遊びを減らしてしまったと実感したからです。今までの育児を振り返り、申し訳ない気持ちが湧いてきましたが、この気づきが今後の育児にとっての転機になると感じ、前向きな気持ちを持つことができました。
4. テレビ頼りの生活を脱する決意と新たなルール
相談を受けて、これまでテレビに頼りすぎていた時間を取り戻すことはできないけれど、これからは少しずつでも生活を見直し、改善していこうと決心しました。
とはいえ、何も理解できていない娘にいきなりスクリーンタイムを完全に断つのは難しいことです。そこで、まずは次の3つの目標を立てました。
- 食事の時間にはテレビを見ない
- スクリーンタイムを1日1時間以内に抑える
- 視聴前にコンテンツと時間を一緒に決めて約束する
当時は、平日の朝と夕方に合計2時間以上テレビをつけっぱなしにしていたことが多かったように思います。週末も、家で過ごす時間に長時間テレビをつけてしまうことがありました。今振り返ると、とても反省しています。
そんな状況だったので、最初はテレビを消すたびに娘が泣いて抵抗し、どう対応すべきか分からず、心が折れそうになりました。テレビを消した後もぐずり続け、私もイライラが募ることがありましたが、泣き喚く娘に寄り添いながら、少しずつその時間帯を乗り越えていきました。すると、驚くことに一週間ほどで、夕食前にテレビを消すことを娘が受け入れてくれるようになり、スクリーンタイムは徐々に減っていきました。
また、新しいおもちゃで遊ぶ時間を増やし、家事よりもできるだけ娘と向き合う時間を大切にしました。その結果、徐々にテレビをつけることなく過ごせる時間が増え、「朝はテレビをつけずに済んだ!」や「夕方もテレビをつけずに済んだ!」という実感を得ることができ、視聴時間が自然と減少していきました。気づけば、「丸1日テレビをつけずに済んだ!」という日も訪れるようになったのです。
現在も、毎日スクリーンタイムをゼロにすることを目指すのではなく、娘が見たがる時にはテレビやDVDの内容を一緒に決めるようにしています。視聴時間は1回につき20分を目安に決め、その時間が終わったらきちんと終了する約束をしています。
とはいえ、娘はまだ時計を読むことができませんので、時間を理解させるのが難しいのが現実です。そこで、こちらのタイマーを使って視覚的にスクリーンタイムを伝えるようにしています。
残り時間を色で視覚的に確認でき、音で終了時刻が分かるため、娘も納得しやすく、私も時間管理が格段に楽になりました。
それでも、時には「まだ見る!」と言われることがありますが、その場合は「このお話が終わったらおしまいにしようね」と伝えて、コンテンツが終わるタイミングまで少しだけ延長することもあります。それでも、動画の内容が終わった後は納得してテレビを消すことができるようになりました。以前のように泣き叫ばれることもなく、私も心穏やかに過ごせるようになっています。
また、YouTubeに関しては、娘が色々な動画を選びたがって時間がかかるため、ほとんど見せないようにしました。
5. テレビを減らした後の娘の変化
スクリーンタイムを減らした結果、娘の行動に変化が現れたことを実感しています。
1. 自発的な絵本の時間が増え、落ち着きが出てきた
テレビの時間が減ると、娘は自発的に絵本を取り出して読む時間が増えました。もちろんまだ文字を読むことはできませんが、絵を楽しんでみたり、繰り返し読んだ本のセリフを覚えて、一人で読んでいる姿が見られるように。さらに、「ママ、絵本読んで」と自分で選んだ絵本を持ってきて、一緒に落ち着いて読む時間も増えました。
2. 食事に対する意欲が向上
食事中にテレビを見ない環境に慣れてくると、娘の食事への意欲が少しずつ見られるようになりました。遊び食べに苦戦することはありますが、以前よりもスプーンやフォークを上手に使えるようになり、食べる量も増えてきています。抱っこで食べたがることもあり、正直大変ですが、その方法で食べてくれるなら今はその気持ちを大切にしようと思っています。
3. 自己表現が豊かになり、遊びの幅が広がった
ごっこ遊びやブロック遊びなど、以前はあまり興味を示さなかった遊びにも少しずつ取り組むようになり、遊びの世界が広がったことを実感しています。ぬいぐるみを使ってお医者さんごっこやお店屋さんごっこを始めたり、お人形のお世話をするなど、まるで小さな大人のように役になりきり、一人でおしゃべりしながら遊んでいる姿も見られるようになりました。
さいごに
スクリーンタイムの影響については知識として持っていましたが、どこかで「自分にはまだ関係ない」と思っていた部分がありました。しかし、娘の成長とともにスクリーンタイムのコントロールがますます難しくなり、私はついに、テレビ頼りの生活から脱却しようと決意しました。
テレビが生活の一部になっていたため、視聴時間を減らすことは私自身にとっても大きなチャレンジで、正直不安でした。しかし、実際に取り組んでみると、娘に目に見える良い変化が現れ、親子の絆もより深まり、以前よりも穏やかな時間を過ごせるようになったことを実感しています。
現在、我が家ではテレビ視聴を完全にやめるのではなく、適切に管理することを心掛けています。今後もスクリーンタイムのバランスを取りながら、娘の成長に寄り添っていきたいと思います。
この経験が、同じような悩みを持つ方々の参考になれば嬉しいです。